群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜】
「お前って、笑わない奴なのかと思ってたよ」
一瞬だけ笑顔を見せていた柚葉は、ふと漏らしてしまった俺の言葉に眉を寄せ、視線を寄越した。
「……あっそ」
それからすぐに顔を背けた彼女の口から、ぶっきらぼうな言葉が落ちた。
「てか、いい加減に帰りたいんだけど」
ついさっきまで空に浮かんでいた月は、いつの間にか姿を消してしまっている。
「そうだな」
俺は、少しだけ寂しさを抱きながら頷いた。
そして、太陽と雲だけになった空を何度も見上げながら、柚葉と一緒に車に戻った。