群青の月
心の中で、色んな感情が混じる。


何故だかわからないけど、思わず泣いてしまいそうになった。


「とりあえず、出直す事にするよ……」


それを堪えるように息を吐き、子犬に言い残すように呟いてから立ち上がると、子犬がブランケットの中から顔を出した。


「アンアンッ!」


まるで『連れて行って欲しい』と言われているみたいで、この場を去る事を戸惑ってしまう。


「お前も一緒に来るか?」


「アンッ!」


尻尾をブンブンと振る姿に小さく笑った俺は、その子犬をブランケットごと抱き上げて車に戻った。


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