群青の月
不安は、もちろんあった。


それでも俺は、吉岡さんの言葉と子犬のブランケットに付いていた香りに、自信が芽生えていた。


だから、怯む気持ちは無かったし、電気が点いている事を確認出来たから立ち去る気も無かった。


意を決して、インターホンに手を伸ばす。


その瞬間…


俺の腕の中でブランケットに包まっていた子犬が顔を出し、まるで柚葉の事を呼ぶかのように鳴き声を上げた。


「アンアンッ!アンッ!」


それに応えるように慌てたような足音が聞こえて目の前のドアが勢いよく開いたのは、その直後の事だった――…。


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