群青の月
車に乗ってから、柚葉はまた一言も話してくれなくなった。


さっきみたいに笑って欲しくて話し掛けてみても、彼女は相槌を打つ事も言葉を発する事も無くタバコを次々と吸っているだけで、少しだけ寂しくなる。


柚葉が見せたあの笑顔は、見逃してしまいそうなくらい本当に微かな変化だった。


だけど…


それは、あの時までに柚葉が見せていた冷めた瞳の嘲笑とは、全く違う優しい表情だった。


赤信号でブレーキを踏んだ時、俺は冷めた表情に戻ってしまった柚葉に視線を遣り、あの時みたいな彼女の顔をもっと見たいと思っていた。


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