群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
ドアを開けた瞬間、凍えそうなくらい冷たい風が吹き込んで…
「アンアンッ!」
同時にトーフと、そして冬夜の姿が視界に飛び込んで来た。
あまりにも突然の事に目の前の状況が飲み込めなくて、あたしは目を見開いて言葉を失う。
まだ寝ぼけているのか、それとも夢の中なのかとも思った。
だけど…
そんな考えは、あたしの体を包んだ冬夜の温かい右腕によって、一瞬で掻き消されてしまった。
「会いたかった……」
その言葉を噛み締めるように耳元で囁かれた瞬間、喉の奥が微かに震えた。