群青の月
「ど……して……?」


震える声で尋ねたのは、冬夜がこの場所を知っている事にも、彼が今ここにいる事にも、あたしには理解出来ないから…。


だけど…


冬夜はその問いに答える事無く、お互いの距離を縮めるように更に腕に力を込めた。


「会いたかった……」


もう一度同じ言葉を囁かれたら、瞳の奥から込み上げて来る熱を我慢する事なんて出来ない。


堪え切れなくなった涙が溢れ出す。


「どっ……して……?」


あたしは温もりの中、嗚咽混じりの声を絞り出して何度もそう訊く事しか出来なかった。


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