群青の月
「だっ、て……」


ひんやりとした空気が、頬を濡らす涙を更に冷たく感じさせる。


「あたしが傍にいたら……冬夜は……っ!」


冬夜の切なげな微笑みに、胸の奥がギュッと締め付けられて…


「だ……からっ……」


瞳から溢れ出した涙が、次々と頬を伝って流れ落ちていく。


「でも……忘れっ、られなかっ……」


嗚咽混じりに話すあたしに冬夜がそっと手を伸ばし、いつかと同じようにその指先で涙を拭ってくれた。


そして…


「なぁ、柚葉……」


冬夜はあたしを見つめたまま、優しく微笑んだ。


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