群青の月
「俺さ、今日が誕生日なんだ」


「え……?」


今の状況に似つかわしくない話に、瞬きを繰り返した。


「初めて会った日は、柚葉の誕生日だっただろ?だから、何となくだけど、今日はお前に会えるような気がしてた……」


キョトンとするあたしを余所に、冬夜は微笑みを浮かべたまま続ける。


「初めて出会った日が、柚葉の生まれた日で……。二度目の再会をした今日が、俺の生まれた日。これって、運命的だと思わないか?」


フワリと緩められた瞳に目を奪われた瞬間、もうどこにも逃げられなくなってしまうって思った。


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