群青の月
冬夜があたしに向けてくれる優しい笑顔は、一緒に過ごしていた日々と変わらなくて…


記憶の中から、柔らかくて穏やかな時間が蘇る。


どんなに忘れようとしても、あたしの心がしっかりと覚えていた温もりと愛。


そんな優しさを教えてくれた冬夜への想いは、どんな事があっても褪せるはずなんて無かったんだ。


本当は、わかっていた。


この想いを消す術なんて無い事を…。


どんなに固く決意をしたって、冬夜に会ってしまえば簡単に崩れてしまう事を…。


彼の声を聞けば、もう離れる事なんて出来ない事を…。


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