群青の月
「言っただろ?俺にとって一番つらいのは、柚葉と一緒にいられない事だ、って……」


さっきまでの微笑みを崩して浮かべられたのは、悲しげな笑みを含んだ憂いを帯びた表情。


冬夜を本当の意味で傷付けていたのは、自分(アタシ)なんだって事に気付いて…


その事実を自覚した時、胸の奥がズキンと痛んだ。


「逆に言えば……柚葉が俺の事を愛して傍にいてくれるのなら、これ程幸せな事はないんだけど?」


涙腺が決壊した瞳は、涙を止める術を知らなくて…


あたしはぼやけた視界をハッキリさせる為に、目を瞬(シバタ)く。


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