群青の月
少しだけクリアになった視界に、冬夜の優しい笑顔が映る。


あたしは息をゆっくりと吐いた後、有りっ丈の想いを込めた言葉を告げる為に、そっと唇を動かした。


「愛してる……」


たった一言を零しただけで、胸の内に押し込めていた想いが溢れ出す。


収まり切らなくなった想いと一緒に、また涙が零れ落ちた。


冬夜はそんなあたしを優しい眼差しで見つめ、ほんの少しだけ表情を崩して泣きそうな顔をした。


そして…


「……最高の誕生日プレゼントだよ」


囁くようにそう零した後、再びあたしの体をそっと抱き締めた。


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