群青の月
「アンッ、アンアンッ!」


離れていた時間を埋めるように抱き締め合うあたし達の間で、トーフが急に鳴き声を上げ始めた。


「わっ……!ちょっ、わかったから暴れるなって!」


トーフは、さっきまで大人しくしていたのが嘘のように、冬夜の腕の中でジタバタと暴れ出した。


そして、慌てた彼の腕の力が緩んだ瞬間、トーフがあたしの胸の中に飛び込んで来た。


「わっ……!」


「アンッ!」


驚いて声を上げると、トーフはあたしを見上げて満足そうに鳴いた後、どこか得意気な顔をしながら尻尾をブンブンと振った。


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