群青の月
近くに停めておいた車に乗り、柚葉に道案内をさせながら車を走らせた。


久しぶりに助手席に座る彼女を見て、胸の奥から幸せが込み上げて来る。


こんなにも些細な事が幸せだと感じる自分に、内心ではすごく驚いていた。


だけど…


柚葉への想いの強さを改めて実感し、そんな事を思う自分にも納得が出来た。


「ねぇ……」


不意に思い詰めたように口を開いた彼女に、前を向いたまま優しく微笑んで応える。


「ん?」


「……本当にいいの?」


一呼吸置いた後、柚葉が戸惑いがちに俺を見た。


< 946 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop