群青の月
明るい色に包まれた清潔な施設内は、どう見ても医療施設そのものだった。


それなのに、廊下や談話スペースにいる人達は皆笑っていて、そうは思えない程の和やかな雰囲気で過ごしていた。


ホスピスに来る事を決めたのは、柚葉と再会した日。


彼女から母親の事を聞いて、そうする事に何の迷いも無かった。


正直に言うと、何を話せばいいのかわからない。


それに、何かを話そうと決めていた訳でも無い。


柚葉に深い傷を作った張本人を前にしたら、たぶん憎しみや恨みのような感情しか抱けないと思う。


だけど…


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