群青の月
柚葉は行き先を訊く事も無く、何本目かわからないタバコに手を伸ばした。


「……吸い過ぎだろ」


「煩い」


「お前、どんだけヘビーなんだよ……」


「変な男に拉致(ラチ)されて寝不足になったせいで、ストレス溜まってるの!」


「それって、俺の事?」


「他に誰がいるのよ……」


呆れたように大きなため息をついた柚葉は、また窓の外に視線を戻してしまった。


だけど…


俺は、ほんの少しでも柚葉との会話が成り立った事に嬉しさを感じて、思わず小さな笑みを零していた。


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