群青の月
「どなた……?」


隣にいる俺に気付いた柚葉の母親が、控えめに尋ねて来た。


柚葉に戸惑いの表情を向けられた俺は、彼女を安心させるようにフワリと微笑んで見せる。


だけど…


ベッドに視線を戻した時には、俺自身からも笑顔を作る余裕が無くなっていた。


「初めまして。崎本冬夜です」


とりあえず用意していた最低限の台詞で自己紹介をすると、柚葉の母親が微かに笑みを浮かべた。


そして…


「……少しだけ、彼と二人にしてくれる?」


何かを悟ったように目を閉じた後、柚葉に向かって小さく告げた。


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