群青の月
訪れた沈黙の中に、どこからか聞こえて来た笑い声が混じる。


「あなたはきっと、私が柚葉にして来た事を知ってるのね……」


無言を貫く事で肯定すると、柚葉の母親はそれを察するように小さく笑った。


「柚葉が生まれた時は、何があっても守って行こうって決めたはずだったのに……。いつの間にかそんな事を忘れて、取り返しが付かないくらい酷い事をしてしまってたわ……」


苦しげに息を吐く彼女を、黙ったまま見つめる。


「柚葉の心も体も深く傷付けていた事をずっと気付かなかったのに、死ぬとわかった時には真っ先に柚葉の事を考えてた……」


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