群青の月
話の内容とは裏腹に、窓から射し込む光が部屋を明るく見せる。


それは、心地好いと感じる程の柔らかい陽光(ヨウコウ)だった。


「許して貰えなくても当たり前だって、わかってるつもりだけど……。死ぬまでに柚葉に会えると思ってなかったら、やっぱりダメね……。会えた途端、許して欲しいなんて考える自分がいた……」


柚葉を傷付けた相手に生まれるのは、憎しみや恨みだけだと思っていたのに…


何故か、それらのせいとは違う苦しさが込み上げて来て、やり場の無い感情に眉を寄せた。


柚葉の母親は、申し訳なさそうな表情を崩さずに続けた。


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