群青の月
「あの人と何話してたの?」


アパートに戻ってから少しすると、柚葉が控えめに訊いて来た。


どう返せばいいのかわからなくて、ほんの少しだけ躊躇う。


「……柚葉の事、頼まれた」


悩んだ結果、それだけ告げると、柚葉が小さなため息をついた。


「そう……」


続けて零された声には、戸惑いが混じっていた。


きっと、柚葉自身もどう受け止めればいいのかわからないんだろう…。


俺はただ、柚葉をそっと抱き締める事しか出来なくて…


彼女もまた、何も言わずに俺の腕の中に身を委(ユダ)ねていた。


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