群青の月
母は、冬夜と会った数日後に静かに息を引き取った――。


まだ3月になったばかりで風は冷たかったけど、よく晴れた日の事だった。


あたしは結局、最期まで謝罪の言葉を口にしていた母を許す事が出来ないままで…


涙一つ零さずに、その現実を受け止めていた。


どんな理由があるにしろ、あの時は“人の死”をどこか冷静な気持ちで見ている自分の事が、何だか少しだけ恐くなってしまった。


冬夜は、そんなあたしの全てを受け止めるようにずっと傍にいて、ただ静かに寄り添ってくれていた。


お陰で、不安を感じる事は無かった。


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