群青の月
母に親戚がいるのかどうかすらも知らないあたしは、ホスピスのスタッフの提案で密葬(ミッソウ)にした。


手続きや準備は、葬儀に参列した事すら無かったあたしの代わりに冬夜が済ませてくれたから、全て滞(トドコオ)り無く終わらせる事が出来た。


母は生前のうちに身辺を整理していたみたいで、ほとんど何も残していなかった。


あたしの世話になるつもりが無かったのは、あながち嘘だった訳じゃないのかもしれない。


最期の最期まで、母とまともな会話を交わす事が出来ないままだったから、今となってはもうその真意もわからないけど…。


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