群青の月
穏やかで温かい日々がまた訪れるなんて、ここを出て行った時には思ってもみなかった。


だからこそ、この幸せを噛み締めるように過ごしている。


「トーフ、冬夜のタバコは触っちゃダメだよ」


すぐに冬夜のタバコを隠そうとするトーフを、窘めるように見つめながら抱き上げた。


トーフの涎(ヨダレ)を拭く為に持ったタバコの箱の感触を懐かしく感じたのは、きっとタバコを止めてしまったから…。


もうずっと、禁煙を考えた事すら無かったのに…


引っ越した頃から吸う頻度が減っていって、今は吸う気にもなれないんだ。


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