群青の月
「……や、冬夜ってば!ねぇ、聞いてるの?」


「え?あっ、ごめん」


未来に思いを馳せてボーッとしていた俺を、柚葉はさっきからずっと呼んでいたらしい。


「……悪い、全然聞いてなかった」


「自分から話振ったくせに、無視しないでよ……」


不機嫌な顔の柚葉が、トーフを抱きながら俺を軽く睨んでいた。


だけど…


宥めるようなキスを何度も唇に落とせば、その表情はすぐに柔らかく緩んだ。


「……で、行きたい所は決まった?」


唇を離して至近距離で微笑むと、柚葉は小さく笑って頷いた。


< 980 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop