群青の月
青い空に浮かぶ月に、ただただ目を奪われた。


白い光を放つ月は、あの日と同じようにほんの少しだけ欠けていて、満月には足りない。


だけど…


目が離せなくなるくらい綺麗で、同時に言葉には出来ないような懐かしさが込み上げて来た。


朝の匂いと一緒に空に浮かぶ月は、柔らかく優しい光を纏っている。


どこか神秘的にも見えるその姿が、何だか冬夜に似ているって思ったんだ。


そんな事を考えていた時、不意に彼がクスリと小さな笑い声を漏らした。


それに釣られるように冬夜を見ると、彼は目を細めて微笑んだ。


< 987 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop