群青の月
微笑んだままの冬夜を見つめていると、彼が口を開いた。


「柚葉と初めてここで一緒に月を見た時も、今日みたいにちょっとだけ欠けた月だったのを覚えてるか?」


無言で頷きながら、冬夜もあの日の事を思い出していたんだって思った。


まるで以心伝心みたいで嬉しくなったあたしに、彼が驚くような事を言い出した。


「その時の月が柚葉と似てるな、って思ってたんだけど……。今日の月もやっぱり柚葉みたいだ、って思ったんだ」


笑った理由を優しく微笑みながら話した冬夜に、あたしは言葉を忘れたかのように目を見開いてしまった。


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