群青の月
「なぁ、柚葉」


「何?」


やっとの事でまともな言葉を発したあたしの頬に、冬夜がそっと手を添えた。


「いつか、二人で家族を作らないか?トーフの弟や妹を作って、皆で賑やかで温かい家庭を築くんだ」


これはきっと、幸せの道に繋がるプロポーズ。


嬉しくて嬉しくて堪らないのに、あたしは上手く笑えない。


込み上げた喜びを、素直に受け入れる事も出来ない。


だって…


「無理だよ……」


あんなにも汚れた過去を纏うあたしは、どんなに頑張っても母親になんてなれないと思うから…。


< 990 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop