群青の月
「どうして?」


冬夜は、あたしの気持ちをわかっているような口振りだった。


「だって……あたしは、自分の母親にあんな目に遭わされたんだよ……」


「……うん」


「それに、最期の最期まで母親の事を許せなかった……。それなのに……子どもなんて……無理だよっ……!」


吐き捨てるように言うと、冬夜は悲しげに眉を寄せた。


「そうだな……」


彼が落とした肯定の言葉に、胸の奥がズキンと痛む。


無理だって言ったのは自分自身なのに、冬夜の言葉に傷付く自分(アタシ)の身勝手さに苛立ちが募った。


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