群青の月
「子どもを産むのは、柚葉にしか出来ない事だけど……。子育ては一緒に出来るだろ?」


得意気に笑う冬夜に、頑なだった心がほんの少しだけ緩む。


「一人じゃ出来ない事でも、二人ならきっと出来る。“一人じゃない”って、たぶんそういう事だと思うんだ」


不安は、たくさんある。


戸惑いも、たくさんある。


だけど…


誰よりも大切な冬夜の言葉なら、信じる事が出来るから…。


「だから……柚葉の心の準備が出来たら結婚して、二人で幸せな家庭を築こう」


あたしは全ての感情を受け止め、ゆっくりと大きく頷いた。


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