群青の月
風があたし達の間をすり抜けるように吹いて、朝の匂いをどこかに運んでいく。


冬夜から受け取ったトーフを地面に下ろすと、トーフは嬉しそうに走り出した。


河川敷を走り回るトーフを見て、笑みが零れる。


「子どもが出来ても、時々ここに来よう。俺は子ども達とキャッチボールやサッカーをして、お昼には柚葉の作った弁当を食べるんだ。もちろん、だし巻き卵付きの」


それは不確かな未来の約束だったけど、あたしの答えは一つしか無い。


「そうだね」


楽しそうなトーフを見ながら頷くと、冬夜があたしの手を優しく握った――…。


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