愛姫



円の真ん中にしゃがみ込んだユアは、ドレスを必死に押さえて小さく震えて泣いている。




色白な柔らかい華奢な背中が大きく露出されている。




その上、酒を投げつけられたのか、背中から髪が濡れて床には酒のグラスが転がっている。




「貴様ら・・・何をしている」




聞いたこともない低い声が響く。



その声の主に気がつく神官たちは一気に顔から色が消えた。




ユアは涙で濡れた顔をノディアに向けた。




「・・・ノ・・・・ノディア様っ・・・・」




ユアの切ない声だけがノディアに届いた。




ノディアは自分の羽織っていたマントを外す。




威圧感のあるノディアに周りの神官もミローネも近づけなかった。




ユアのもとまでコツコツと歩く。




フワリと優しくユアをマントで包むとユアを抱き上げた。



< 133 / 229 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop