愛姫
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馬車の中からユアは外の街の様子にくぎ付けだ。
ノディアの街も満足に見たことがないユアは見たこともない食べ物や植物を見て瞳を輝かす。
ノディアとティノとアリィーは優雅に飲み物を飲んでいる。
「ユア、そんなに街が面白いか?」
ノディアが自然な動きでユアの腰に腕をまわす。
「はい!見たこともないものがたくさんで・・・!」
ユアはとびっきりの笑顔で言う。
「そうか、それは良い」
クスクスと笑うノディア。
栗色の髪が小さく揺れる。
そんな様子を相変わらず驚く顔で見るティノとアリィー。
「・・・すごいね、あのノディアが」
「そうね、笑うなんてね」
二人は顔を向かいあわせて笑う。
しばらくすると馬車が止まる。
「さあついたよ。今日は国1番の料理店を貸し切りにしたんだ」
そう言ってティノが馬車を降りる。
外はなぜか騒がしい。
ユアは不思議に思って窓にかかるカーテンの隙間から外を見た。
そこにはたくさんの国民の姿があった。
「ノディア、このたくさんの人の中歩くの・・・?」
「当たり前だ」
慣れていないユアは一気に緊張してきた。