そして、恋をする。
私はかなり
ぼーっと
していたらしい。


一時間目の
先生が
入ってきたことに、

全く気づいて
いなかった。


「起立!」


日直の声で
やっと
我に返った…


その時、


坂口君が
起立の声に
勢いよく
立ち上がる。



バン!!



「痛っ!」



思わず小声で
叫んでいた。


私の机と
彼の椅子の
背もたれの部分に

思いっきり
指を
挟まれたのだ。


周りの数人が
悲鳴を
聞いたらしい。

こっちを
不思議そうに
見ている。


坂口君も
さすがに
気づいた。



「何?」



どうせ、

「ああ。」

って冷たく
返されるんだろうな。

冷たく
言われるぐらいなら、

何でも無い、
って言おうかな。

でも、
黙ってるのも
ムカつくし…。



「…指、挟んだでしょ。」



思い切って
言ってみた。



はっきり言って、

坂口君が
怖かった。


あの身長から
見下ろす姿と、

冷たい返事。

けっこう怖い。



そして
何より、

嫌われてると
思った。






…嫌われてる
かもしれないことが
一番怖かった。





可愛げない事
言って、
また嫌われる…。


そう思った。


けど、


坂口君と
会話したい。


そう思った。



だから、

可愛げない言葉と
分かっていながらも、

言っちゃった。



バカ。

自分のバカ。








私、

坂口君に

嫌われたくない…。
< 13 / 74 >

この作品をシェア

pagetop