そして、恋をする。
風が冷たく
なってきた。

昔のこと

何も
思い出せない。


今まであまり、
過去を
思い出すことなんて
なかった。


「…まぁ、いっか!」


あまりに
寒くなり、
公園を後にする。


坂口君…。


明日
しゃべってみよう。


そうしたら
何か
わかるかもしれない。



空が
夕焼けで
真っ赤に
なっていた。


日向の部分は
少しだけ
暖かい。


風は
冷たいけれど、
春の匂いがして
やわらかい。


脇道の草は一見
枯れているけれど、
よく見ると、
新緑がまぶしい。


大きな木には
葉っぱが戻り、
いい香りが
降り注ぐ。



「坂口君も、いい匂いしたな。」



ふと思いだす。


空の雲は
冬と違い、
軽快に優しく
流れていた。
< 20 / 74 >

この作品をシェア

pagetop