そして、恋をする。
「え…だ、だってまだ寒いから。
な、なんか、あったかいものってホッとするし…!」


慌てて
まくし立てる。


「いやー。見かけによらず面白いんだね。沢村さん。」

「ってか変わってるねー。」


爽やかな男の子と
高橋って人に
笑いながら
言われてしまった。


「ま、天然なのは分かった!次は坂口の番だよ。」


小林さんが
うまい具合に
進行させてくれる。


「…坂口誠(まこと)です。趣味は球技。」

「また短いなぁ。まぁいいや!次ー。」

「俺か。俺は渡辺敦(あつし)。
趣味は映画鑑賞とかかな。よろしく!」


小林さんの上手な
進行によって
爽やか君の自己紹介まで
すんなり終わった。


爽やか君は
渡辺という名前
だったらしい。



それにしても…

球技か…。



私も球技って
言えばよかったかな。


「ねぇ。沢村さん?」


正面から
声が聞こえた。


「あ、何…?」

「沢村さんって趣味は?」

「趣味?何で?」

「何でって…。冷たいなぁ。単なる興味だよ。」

「んー。…テニスかな。」

「テニス?!俺やったことないんだよね。」

「そうなんだ。」

「楽しい?」

「…え?」

「テニスって楽しい?」

「まぁ…それなりに。」

「何だよそれ!はは。」


他愛ない話。
けれど、
顔見知りの私には
ちょっと辛い。

高橋君…だっけ?

なんか明るい人だな。

水泳してるだけ
あってか、
がたいも凄くいい。




存在感の
ある人だな…。




昨日から隣に
座っていたのに

全く気付いて
いなかったのが

嘘のように…。
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