そして、恋をする。
「さ、坂口君?!」


思わず
声が裏返る。


「ど、どうしたの?坂口君も怪我?!」


恥ずかしくなり
顔を俯きかげんに
聞いてみる。


「…。」


しかし、
坂口君は
私の動揺をよそに、
黙ったままだ。


「さ、坂口君…?」


気まずくなり、
少し顔を
覗いてみる。

目を細め、
険しい顔をしている
坂口君の顔が
見える。


もしかして…
お、怒らせた?!

私があの
タイミングで
指を切ったから?

変な疑いが
向けられたのかな?!

だったら
どうしよう!!

今度こそ
嫌われちゃう…!


「凄いな…。」


…え?

予想してなかった
彼の言葉。


「…何が?」

「…血…。」


彼の目線の
先を追ってみる。

そこには
私の指と、
真っ赤に染まった
タオルがあった。


「ああ!こ、これはね!違うの!大丈夫だから!あはは…。」


何て言ったら
いいのか分からず、
慌てふためく。

坂口君の
険しい表情は
変わらない。


「こ、これは…なんていうか…」

「俺のせいか…?」

「え…?」

「その怪我。俺のせいなのか?」


ドキッとする。




だって

わからない!!



私にも
この怪我の
理由が
全くわからない…!
< 40 / 74 >

この作品をシェア

pagetop