そして、恋をする。
とりあえず、

歴史のノートを
形だけ
机の上に出す。


左の人差し指を
見つめてみる。

まだ
包帯をしている指が
何だか痛々しい。



坂口君。


私が左利きなの
知ってたの…?



ずっと考えていた。

普通、左手が
怪我してたって、

右手で書くノートに
大した支障は無い。


けれど、
私の利き腕は

左。



昨日病院でも
利き腕を聞かれた。

左手です

って答えた。


そしたら、
しばらくは
左手を使うなと
注意された。



すっかり忘れてた。



ねぇ、

坂口君。



あなたは
私が望む事を
いつも
先回りしてするんだね。



最高に
分かり難いけど、


最高に


…優しいね。



坂口君の目は
黒板とノートを
行ったり来たり。

動きは
とまらない。



ありがとう…。


ありがとう…。





本当に

いつも


ありがとう。
< 48 / 74 >

この作品をシェア

pagetop