そして、恋をする。

「あー。そっか。いいよ。貸す貸す。」


あっけらかんと
返事が返ってくる。


「え。本当に…？」


まるで
宇宙人でも見たかのような
彩夏の表情。


「全然いいよ。
あ、でも俺字汚いよ。」

「ううん。大丈夫！！
本当にありがとう！！」

「いや、本当にいいって。
なんかそこまで言われると
逆に照れるし。」


…


なんかすごく
いい感じ…。



こっちまで
あったかいような
くすぐったいような
妙な感覚に襲われる。


彩夏には
いつも笑っていて欲しい。


こんな風に
ちょっと恥ずかしそうに
でも心の底から
笑ってる顔が

見ているだけで
すごくなんだか
暖かくなる。



私も坂口君と話すときは
こんな風に
笑ってたりするのかな。



第三者から見れば
完全に好きなの
ばれてるような笑みを


浮かべてしまったり
しているのかな。


恥ずかしい反面、
なんだかちょっと、
ほんのちょっとだけ
誇らしい。





私は恋をしている。






坂口君という
一人の異性に





本気で




そして真剣に





恋をしている。