そして、恋をする。
授業が終わり、
また無言で
ノートを
差し出された。


「ありがとう…。」


無言で
立ち去ろうとする
背中に


「あの…」


思わず
問いかけていた。


「…何?」

「坂口君は部活何やってるの?」


少し驚いた
表情をした後に、


「…野球部。」


静かに
答えてくれた。


「野球好きなの?」

「…何で?」

「え?」

「何で突然そんな事聞く?」


こちらを向きながら
私を見下ろす。


「…特に深い意味はないよ。興味本位に聞いてみただけ。」


半分嘘。

坂口君に
興味があるから
聞いた。


「…さぁ。」


冷めた返事。


野球が
好きなら、

野球をしてる時は、

心底楽しそうに
笑ってたり
するのかなって
思っただけ。


私はテニスが
すごく好きで、

テニスを
してるときは、

無意識に
笑ってプレイ
しているらしい。


そうゆう時の
笑顔って
どんな笑顔なんだろう


って思ったら、
そうゆう時の
坂口君の
笑顔も

見たくなった。

それだけ。



まぶしいが
昼間ほどの
輝きを失った
太陽が、

また少し
地平線へと
近づいたのを
見た気がした。
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