そして、恋をする。
ズキン…。



いた…。


また縫った指が
疼いた。


左手の指を
見てみる。


ため息が出た。





その時、




じわ…





またしても、
包帯をしている
傷口から血が
滲み出していた。


「え…?」


驚き、
かすかに声が
もれてしまった。


坂口君が
振り返る。


白紙のノートに
血が落ちる。



慌ててタオルで
拭いて、
手を隠す。


「大丈夫だから…。」


今回は
そこまで激しい
出血では
無い気がする。


もう少し、
我慢していれば…



…ガタン!…



「保健室行ってきます。」


目の前の
大きな背中が
すっと立ち上がり、

私の指の
付け根を
押さえつつ、



ざわめき立つ
教室から


保健室へと
足早に向かった。
< 71 / 74 >

この作品をシェア

pagetop