そして、恋をする。

信じられないくらい

険しい瞳。


「え…？何？」


心臓に
握りしめた右手を
押しつける。

安定していた
脈のリズムが
一気に速まる。

額に汗が
玉になり、
それを甘い風が
一気に冷やす。

背中の筋肉が
完全に固まり、
体が
少しも動かない。



ふと、

目がそらされる。




…あれ？

さっきまで
笑ってたよね？

私が何か
怒らせるような事、
しちゃったの？


待って。


口が動かない。

腕が動かない。

体が動かない。






…あれ？

何？コレ。








ぎちっ…





傷口から
鈍い音がした
気がした。

その瞬間。

また、
傷口から
血が滲み出てきた。




開いている
左手の掌に、
額から汗が
滴り落ちる。




なんか
体が変だ。




どうして？

何で怒ってるの？？

どうして
そんな目を
してるの？


どうして…

目を

そらしたの…？




やっとのことで
止まりかけていた血が、
また床に
滴り落ちた。