切なくて、切なくて
─ヒーロー
次の日、3時間目公民。
それだけが楽しみで学校に行く。
クラスに入ると、いつも通りに晴香ちゃんが声をかけてくれる。
席について隣を見ると相変わらず人だかりになっている。
「加藤のファンクラブが
できたんだよー!!」
「ついにって感じだよね」
周りは女子、しかも派手な子ばっか。
加藤も楽しそうに話してた。
「お、ついに俺にもファンクラブかー……」
ニヤっと笑うと加藤はいろんな女の子に次々と抱きつき、
「まじ、みんなにチューしちゃいたぃ!」
と言って、目もとでピースし、ウィンクをしていた。
周りの女子から叫びのような歓喜の声。
「チューしていいよ?」
と1人の女子がいうと
「俺ってそんな軽い男じゃないからさぁー、好きな子以外にはチューとかしないょ!」
そう言ってまた、さっきのようにキメポーズをした。