切なくて、切なくて




「次ぃー!」


ほぼその言葉と同時に私は後ろから頭を打たれた。


「井上、ぼーっとしてたやろ。どアホ」


私は顔を引きつらせた。


「はよ跳べや、つっかえるちゅーに」


先生の指差す先、そこにあるのは跳び箱。

しかも6段。

私は極度の運動オンチで跳び箱だって跳べて3段。


「いや、無理です、無理無理無理っ」


跳び箱から退こうとする私を先生は体操服を引っ張り無理やり止めた。


「ぼーっとしてるから、跳べない跳び箱の列に並んでしまうのや、しゃんとしぃ」


そしてそう言って、最後にもう一発叩いた。


「ま、今回は許したる」


先生は目線をそらしながら呟いた。










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