切なくて、切なくて
ふらーっと跳び箱から遠退ける私。
「ふーん、穂乃香って運動オンチなんだぁ」
体育館の出入口にいたのは加藤だった。
「うん、それは認めるよ」
と言いながら、私は腕を組んで壁によっかかった。
クスクスと笑う加藤。
「笑わないでよ……」
私だって、半ば諦めなこの運動オンチのことを少しだけでも気にしている。
「教えてあげようか?」
「な……///
け、結構です」
赤くなった顔を隠そうとした台詞は、あまりにも冷たかった。
嬉しかったのに……