切なくて、切なくて




「おはよ、穂乃香」


声をかけてきたのは、
親友の夏希だった。


夏希はクラスでもちょっとだけ派手な方で
夏希と一緒にいると、一番派手なグループからはぶられた子がある日突然、会話に交じってる。


夏希という親友は根暗な私に
神様があたえてくれた小さな誇りかもしれない。


「おはよ夏希」


夏希にも似たような
そっけない返事。


でも夏希は笑顔だった。


「昨日、大樹がさー…」


そうしていつものように
彼氏の大樹くんの惚気を話しだす。


「そんなん聞いてると
私も彼氏欲しくなる」


なんて、ちょっと
調子のって言ってみる。


「穂乃香の場合、
好きな人が先でしょ」


夏希には、そうやって
笑われてしまった。


一応、私にだって
気になってる人はいるのに。







< 3 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop