切なくて、切なくて
「おはよ、穂乃香」
声をかけてきたのは、
親友の夏希だった。
夏希はクラスでもちょっとだけ派手な方で
夏希と一緒にいると、一番派手なグループからはぶられた子がある日突然、会話に交じってる。
夏希という親友は根暗な私に
神様があたえてくれた小さな誇りかもしれない。
「おはよ夏希」
夏希にも似たような
そっけない返事。
でも夏希は笑顔だった。
「昨日、大樹がさー…」
そうしていつものように
彼氏の大樹くんの惚気を話しだす。
「そんなん聞いてると
私も彼氏欲しくなる」
なんて、ちょっと
調子のって言ってみる。
「穂乃香の場合、
好きな人が先でしょ」
夏希には、そうやって
笑われてしまった。
一応、私にだって
気になってる人はいるのに。