溺愛中なんです。
__揺らぐ心
カラオケはやっぱり苦手。
だいたい、団体行動が苦手なんだもん。
けど、私は来ることにした。
だって…
「お願い、雪姫!あたし、北山くんのこと……好きだったの!…だから、一緒に行ってくれないかな?」
って、超可愛い顔でお願いされた。
あんな顔されちゃ断れないよ。
真っ赤にさせた葉月ちゃんの顔を見て
本当に、北山くんが好きなんだな
って思った。
それなら仕方ない。
決して雨宮の為とかじゃないから!!!
「私、トイレ行ってくる」
私は部屋を出てトイレに行ってから
廊下を歩いていた。
「君、可愛いね」
「いくつ?」
……げっ。
こんなとこでナンパ?
やだなぁ…。
2人とも金髪で首にはジャラジャラと
うるさく音をたてるネックレス。
チャラいの嫌なんだってばー……!
「…すいません。友達、待ってるんで」
「え〜☆いいじゃん!ほら行こ?」
私は腕を掴まれて少し強張った。
やだよ、何か…怖い。
「やめてくださいっ」
私は相手の腕を振り払った。
「かわいくねーな。大人しくしろよ」
な、に……。
さっきと目つきが全然違う…。
次の瞬間、私はハンカチで口を
押さえられて、腰を引っ張られた。
なにこれ……
すっごい…眠くなって、きた…。
睡眠薬?
こんなとこで……
私の意識はそこで途切れた。
ボコッ…
うっ…いってぇ
んだよ……こい、つ……
なにこれ…?
誰かが…人を殴ってる?
途切れかけた意識の中で
微かに声が聞こえていた。