溺愛中なんです。
「やっ…やめて!離してよっ!」
私は、"ヤツ"の腕を離した。
なんなんだコイツは…毎回毎回……。
「今日も朝から可愛いな」
「あんたは今日も朝からテンション高いね」
"ヤツ"とは、雨宮慶介。
私が最も苦手とする生き物。
ルックスは…悔しいが、とてつもなく良い。
髪は金髪で耳にはたくさんのピアス。
ネクタイはゆるゆるだし、
ブレザーの下にフード付きの
赤いパーカーを着ている。
ズボンは引っ張ったらずり落ちそうなくらい下がっている。
校則違反だらけ。
頭は悪い。バカ。アホ。マヌケ。……チャラ男。
そう、コイツはチャラい。
私はチャラいのは嫌いだ。
そしてバカは嫌い。
てゆうか……雨宮が嫌い。