溺愛中なんです。
「俺は優菜が本気で好きだった。なのに……お前は簡単に、優菜を奪った」
「…悪かった。あんときは…俺も、どうかしてた」
俺は軽く佐藤に頭を下げた。
「……ッん……!!」
そのとき佐藤の後ろで
男が雪姫の口を手で塞いだ。
雪姫……!!
「…でも…雪姫だけは…やめてくれ」
「…じゃあ……いっきまーす♪」
佐藤は俺の頬を思いっきり殴った。
「…雨宮ッ…!!」
雪姫の声が聞こえる。
これで、雪姫が助かるなら……
俺は……これでいい。
─ガッ
「…ッ…ゴホッ……!」
佐藤の拳が俺の腹に命中した。
「…やだっ…やめて…!」
雪姫は泣きそうな声で
佐藤を止めようとしている。
─バキッ
─ボコッ
俺は殴られ続けた。
…俺、このまま……死ぬかも。
そう思ったとき、
「おーい!誰かいるのかー?」
先生の声がした。
「…やっべ…行くぞ!!」
佐藤は最後に俺を蹴って逃げていった。
「雨宮っ!!!」
雪姫が俺に駆け寄る。