溺愛中なんです。



「雨宮!!大丈夫!!?嘘!?死んでる!?」


雪姫は何も言わない

俺を死んでると勘違いしている。


勝手に殺すなよ(笑)


「ギリギリ生きてまーす」

「…よかった…ごめん……大丈夫?」


うっすら開けた目から見えたのは

目にいっぱい涙を溜めた雪姫だった。


俺……泣かすことしか、できねぇや。


「…大丈夫。あんま見んな。ダサいから」


こんなにボッコボコに殴られたとこを

好きな奴に見られるほど、

ダサくて恥ずかしいことはない。


「ダサくなんかないよ。……ありがとう」

「……だから、見んなって」


マジで…んな顔して見ないでほしい。

諦められなくなるっての。

決心したのに。


「……雨宮…」

「…なーに」

「……ありがとう」

「……礼なんかより、雪姫がほしいなぁー。なんつって(笑)」


俺は雪姫の顔を見ず、地べたに座って

俯いたままいつもの冗談を言った。


本気なんだけどね。


「……いいよ」

「…えっ?何が?」

「なっ…!自分で言っといて何よ!///」


は?…え?俺……なんて言ったっけ?


『礼なんかより、雪姫がほしいなぁー。なんつって(笑)』

『……いいよ』


……え?


「えぇぇえぇえ───!!?」


叫びすぎた。

口元の傷が痛い。



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