溺愛中なんです。
「雪姫ぃー俺と付き合お?」
「嫌だってば」
この言葉、何回聞いただろう。
そして、この言葉も何回言っただろう。
「もー。慶介くんショック〜」
……キモい。
あたしは雨宮を無視して早足で
靴箱まで向かった。
「なんで無視すんだよー」
「……」
「…あ、また無視された?」
何度断っても、何度無視しても
雨宮は飽きることなく私にかまう。
いい加減……やめてほしい。
「おっ!雪姫ちゃんと慶介じゃん!」
「おっはよー」
そう言って話しかけてきたのは
北山泰地(キタヤマ タイチ)くんと
滝川遊星(タキガワユウセイ)くん。
二人とも私と同じクラスで、
雨宮とよくつるんでいる。
北山くんは黒髪で清潔感あふれる好青年って感じ。
なんで雨宮なんかと
つるんでるのかわからない。
滝川くんは雨宮と同じような雰囲気。
赤茶っぽい髪に鼻にピアスがついている。
「なぁーまた振られたんだけどー」
雨宮は悲しそうな感じで言うけど
顔は半笑いで全然落ち込んでる様子なんてない。
「また告ったの?慶介もよくやるねぇ」
「慶介に雪姫ちゃんは勿体ないっしょ?」
二人は慣れてるような対応で
ダルそうに答える。