13回目の好き
やっとのことで開けたドアの先には、椅子に座って私を待っていた恭先生がいつものように、にっと笑ってこっちを見ている。
いつもの恭先生に戻っちゃった。
「何ですか?」
クイクイッと片手を上げ下げし、私を呼ぶ恭先生。
近寄ると、恭先生は私の左手を取り、薬指にシルバーのリングを通した。
「え!?」
あまりのことに、キラリと輝くリングに目を奪われる。
恭先生:「卒業したら、結婚しよう。これは約束の印…。」
余裕の笑みを見せていた恭先生は、そう言うと、チラリと不安そうに私の表情を伺う。
椅子に座ってる恭先生は、立っている私より背が少し小さくなる。
それが、あまりにも愛しくって。思わずギュッと抱きしめる。
「ふふ!嬉しい。何だか恭先生って可愛いですね。」
恭先生:「な!!…お前は…教師をからかうなよ。」
「へへへっ!ありがとうございます。卒業まで、待っていて下さいね!」
恭先生:「こっちのセリフ!」
「あははッ!…はい!!」
5年目の春は、恭先生との新しい生活が始まるんだね。