13回目の好き






やっとのことで開けたドアの先には、椅子に座って私を待っていた恭先生がいつものように、にっと笑ってこっちを見ている。



いつもの恭先生に戻っちゃった。


「何ですか?」



クイクイッと片手を上げ下げし、私を呼ぶ恭先生。





近寄ると、恭先生は私の左手を取り、薬指にシルバーのリングを通した。




「え!?」



あまりのことに、キラリと輝くリングに目を奪われる。




恭先生:「卒業したら、結婚しよう。これは約束の印…。」




余裕の笑みを見せていた恭先生は、そう言うと、チラリと不安そうに私の表情を伺う。


椅子に座ってる恭先生は、立っている私より背が少し小さくなる。


それが、あまりにも愛しくって。思わずギュッと抱きしめる。




「ふふ!嬉しい。何だか恭先生って可愛いですね。」





恭先生:「な!!…お前は…教師をからかうなよ。」



「へへへっ!ありがとうございます。卒業まで、待っていて下さいね!」




恭先生:「こっちのセリフ!」



「あははッ!…はい!!」







5年目の春は、恭先生との新しい生活が始まるんだね。







< 108 / 266 >

この作品をシェア

pagetop